「あるある大事典事件」  (脇田和幸先生)

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    乳がんとは直接関係ありませんが,最近世間を騒がせた“あるある大事典事件”というのがありました.納豆を1日2パック食べるだけでダイエット効果があるという内容で,直後からスーパーから納豆が売り切れるなどの反響があったのですが,その後学者のコメントの改ざんや実験のねつ造が発覚しました.さらにこの回だけでなく過去のバングに内容でも怪しいものがいくつもあるということもばれてきています.

    そもそも○○を食べるだけでやせるとか,△△を身につけていれば恋人ができるとか,□□を聞くだけで試験に合格できるとか,世の中そんなに甘いもんじゃないです.そうはいっても,なんか効果ありそうだという記事がテレビや新聞などに載っていたら試してみようかと思うのも人情でしょう.

    真偽を見極める方法のひとつとして,“絶対に...”など誇大な表現や“ぐんぐん...”など反復ことばを見つけたときは眉につばをつけて判断するべきでしょう.

    “あるある”もタイトルからしてあやしかったといえます.日常会話でも“はい”でなく“はいはい”という相づちがかえってきたら,きっちり聞いてない証拠でしょう.
    心掛けようとは思っているのですが日頃の診療でもつい,はいはいはいと返事してしまっています.これを機に反省.

    淀川キリスト教病院 外科 脇田和幸

    専門看護師と認定看護師

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      皆さんの通院されている病院に、「専門看護師」「認定看護師」の看護師はいらっしゃいますか?言葉は聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にどんな人なのかご存じない方もいらっしゃると思います。今回は、専門・認定看護師についてお話します。

      看護師は医師と違い、内科から外科、小児科から内科など、病院内での移動があるため多くの分野に関わります。私も就職して内科病棟(血液・一般内科)に3年、ホスピス病棟に4年、外科病棟(消化器・乳腺)に4年間と3つの部署に所属していました。しかし、ここ数年の医療や看護の高度化によってより専門的で水準の高い知識や技術を持った看護のスペシャリストが必要とされるようになったことを受けて、日本看護協会が1996年に「専門看護師」「認定看護師」の資格制度を設立しました。

      専門看護師とは、複雑で解決困難な看護問題を抱える人やそのご家族などに対してよりよい看護を提供するために、専門分野(がん看護・地域看護・精神看護・老人看護など8分野)において卓越した高い知識と技術を持つ看護師のことです。認定看護師とは、看護現場における看護の質の向上を図ることを目的に、ある特定の分野(乳がん看護・がん化学療法看護・がん性疼痛看護・ホスピスケアなど17分野)において熟練した看護技術と知識をもつことが認められた看護師のことです。認定看護師は、「特定の分野」と範囲が狭いため分野の数が多いのです。もっとわかりやすく言えば、QOLの会に参加している、鈴木さんは乳がん看護のスペシャリストで、私はがん化学療法看護のエキスパートということになります。

       私は、先ほど職歴を書いたように、偶然にもがん患者さんと関わる部署ばかりで働いていました。その中でもホスピス病棟での4年間は、とても大変でしたが自分の看護を振り返るいい機会となりました。そして、これからもがん患者さんと関わりたいという思いが芽生え、さまざまな問題を抱えて治療を行なっている時期に関われる「がん化学療法看護」を選択し、2005年にがん化学療法看護認定看護師を取得しました。現在は、外来点滴室に所属し主に外来化学療法を受けている方の看護を行っています。具体的に当院では、乳がん・消化器がん・肺がん・婦人科がんの方が治療を受けていますが、乳がんの方は、初回から外来治療となるため、治療を終えるとご自宅へ帰られます。そのため、ご自宅で副作用や日常生活でお困りのないように化学療法前にオリエンテーションを行い、不安が少しでも軽減できるように努めています。また、どの抗がん剤の治療を選択するか選ばないといけないときにもお手伝いをさせてもらっています。

      2006年4月から、「大阪QOLの会」の世話人となり患者会にも参加させていただいています。白衣を着てではなく、病院以外で皆さんの生の声を聞かせていただくことは、とても新鮮で楽しく私の方が教わっていることが多いように思います。皆さんと一緒に乳がんについて学んでいきたいと思っていますので、今後もよろしくお願いします。

      淀川キリスト教病院 椎野育恵

      「坂元 吾偉先生退任記念祝賀会に参加して」  (高尾 信太郎先生)

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        私の恩師の一人である、癌研有明病院 乳腺病理部部長 坂元 吾偉先生の退任記念祝賀会が9/30ホテル日航東京で開かれました。乳癌の世界では知らない人はいないぐらい有名な先生ですが、皆さんには『乳癌学会初代理事長』と紹介したほうがよいかもしれません。先生を慕う弟子たちが全国から集まり、先生の新しい門出を祝福しました。

        私が癌研乳腺病理部に留学したのは1997年から1年間でした。ある学会で、『乳腺線維腺腫に合併した乳癌の一例』という症例を発表したときのこと。病理の先生と貴重な症例をみつけたことに誇らしさを感じての発表でしたが、会場で坂元先生に、『あれは良性で癌じゃないよ。』と一刀両断され、乳腺病理をみきわめたいとの思いだけで、臨床医生活をなげうって癌研病理部に飛び込みました。そこには今まで疑問に思ってきた乳腺病理に関する答えがすべてありました。一年間のみの短い時間ですべてを吸収、消化することはできませんでしたが、常に臨床を意識した病理診断、病理標本の向こうに常に患者さんを意識して診断をする姿勢に、いまだかつて無いぐらいのめりこみました。

        癌研を去るとき、坂元先生に『乳腺疾患診療の原点は正しい病理診断にあり。浪漫を求めての活躍を祈る』との言葉をいただきました。まじめだが、とかく視野が狭くなり小さくなってしまう私の性格を知り、『浪漫を求めて』という言葉を下さった先生の優しさに感激したものです。

        それから数年後、こんな患者さんを経験しました。32歳、女性。右乳房にしこりを感じて近医を受診され、初診医にはエコーで乳癌と診断され、再診時に違う医師には、良性で経過観察で問題なしといわれ、不信に思っての当科受診でした。若い女性の診察では、乳房が発達しているため、良悪性の鑑別はきわめて慎重にする必要があると常日頃注意していたつもりでしたが、エコー、MRIと画像診断が進むにつれて乳癌との診断を強めていきました。しかし、細胞診、針生検では良性像しかなく、切開生検を行いました。結果は非浸潤性乳管癌。思い込んでいた画像診断と一致したことから、乳癌と診断し、手術を予定しました。腫瘍の存在範囲から乳房切除術が勧められ、患者さんも同意されましたが、妊娠されていることがわかり、12週まで待つことになりました。その間、癌の診断にわずかな疑問を感じていた病理医が切開生検の標本を坂元先生のところへ送りましたが、休暇中の先生からは返事が無く、術前カンファレンスでも画像診断を優先して、乳癌の診断が揺らぐことはありませんでした。

        さて、手術当日、その日は手術が2例あり、この患者さんの手術は午後からでした。1例目の手術中、坂元先生から電話があり、良性であることが報告されました。すぐに手術は中止になり、事なきを得ました。もし、この患者さんが妊娠されなかったら・・・、当日の手術が午前であったら・・・。思い出しただけでも今でも冷や汗が流れます。いかに乳腺の病理診断が難しいか、自らの未熟さを何年経っても思い知らされます。

         今回、退任記念講演では、坂元先生がはじめて自分史を話されました。師事された多くの先生方との思い出、38年間癌研乳腺病理部で乳腺病理一筋にやってこられた信念、今後は『坂元記念クリニック』で引き続き乳腺病理を続けることなど、『一生』では極められなかった乳腺病理を『二生』がかなうならやりたいと、未だ情熱を燃やし続ける先生に皆感激しました。
        今後の先生の生き方を質問され、『顕微鏡をみることが自分の生きがいであり、乳腺病理を究めることが自分の信念であるから、そんな一生を続けることもいいかなと思う』と最後に述べられました。

        私にとって生きがいとは?信念をもって患者さんに接しているか?浪漫を求めているか?いろいろ考えさせられた一日でした。

        兵庫県立成人病センター乳腺科
        高尾 信太郎


        「乳がんとチーム医療」  (鈴木久美先生)

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           7月7・8日に第14回日本乳癌学会総会が金沢市で開催され、乳癌診療・ケアに関わっている多くの医師や看護師、薬剤師などが参加しました。昨年の参加者数は約3000人と聞いておりますが、今年はそれ以上に参加者が集まっていたと思われます。私は、この学会に6年前から参加しておりますが、この6年間で大きく変化したことが1つあります。以前の学会では、乳がん診断や治療に関する講演やシンポジウムなどが殆どであり、『チーム医療』というテーマを取り上げてシンポジウムや企画講演などで医師や薬剤師、看護師が一堂に会して熱心に討論する姿は見うけられませんでした。しかし、2〜3年前から『チーム医療』に関心が寄せられるようになり、最近では乳がんの患者様をチームで診るという施設が多くなってきています。乳腺外科医が一人で多くの乳がん患者様を抱えて診ていた時代から、患者様を取り巻く多職種の医療者が乳がん患者様のQOL向上をめざして医療を提供する時代へと変わりつつあります。
           昨年、聖路加看護大学で『患者中心の乳がんチーム医療』というテーマで国際駅伝シンポジウムというのを開催しました。その時に集まった聴衆の方にチーム医療に関するクイズをしました。
          Q1「現在の医療システムにおいて、あなたが治療を受ける際、自分はチーム医療の一員であるという実感はありますか?」・・・約90%の方は実感できていないと答えていました。
          Q2「ご自分の治療を決めるときに医療者が行っているチームカンファレンスに参加したいと思いますか?」・・・95%以上の方がカンファレンスに参加したいと答えていました。
          さて、皆さんはいかがですか?『チーム医療』は、患者様の治療効果およびQOLを高めるために、医師や看護師、薬剤師などの多職種がともに手を組み、その患者様にとって最適な治療法を検討してそれを実践することと言われています。そして、より良い『チーム医療』を実践するためには、患者様自身がご自分の病気や治療に関心をもって積極的に医療に参加することが大切になります。余談ですが、Q2で出てきた『チームカンファレンス』は、患者様が十分納得した上で積極的に治療に取り組みながら、よりよい生活を送るために医師、看護師、薬剤師などの多職種が一堂に集まり、その患者様にとって最適な治療法をみんなで話し合って検討することを言います。米国では、医療者だけでなく患者様も参加して一緒にチームカンファレンス行っている病院がたくさんありますが、日本では患者様が参加するチームカンファレンスをしている病院はほとんどないのが現状です。

          聖路加看護大学看護実践開発研究センター 鈴木久美

          「最近の乳癌と医療の動向」  (小西宗治先生)

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            近年、日本女性の乳癌は増加の一途をたどっており、現在年間約4万人の方が乳癌に罹っています。しかし乳癌はどちらかというとおとなしい癌であることも多く早期に見つければ治る可能性がとても高い癌です。早期に発見すべく、マンモグラフィを併用した乳癌検診も多くの地域でスタートし、また超音波装置も高性能化し小さな段階で癌が発見されるようになってきています。
            一方、手術や術後の抗がん剤治療を受けられた(初期治療といいます)方の再発率も確実に低下してきており、手術時に腋のリンパ節転移があるといったやや進行した方で大幅に改善してきています。
            初期治療の抗がん剤治療として化学療法をしっかりやるようになってきたこと、長期間のホルモン治療がおこなわれるようになったこと(5年間が標準)、海外で開発された薬でも効果が確認されれば早く日本でも使えるようになってきたことが影響しているものと思われます。
            最近、5年間のホルモン剤(タモキシフェン)投与のあとにさらに種類をかえて(レトロゾール)ホルモン療法をすることで、再発率がさらに低くなることが証明され、日本でも近く使えるようになるようです。

            大阪府済生会中津病院 小西宗治

            「妊娠と乳癌」  (西田 禎宏先生)

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              このQOLの会の世話人の中で、私一人が開業医である。
              病院で手術をする医師に比し、これまで紹介側の開業医は専門医でないことも多く、患者サイドとしてもどうしても見方が違っていた。
              私は開業するに当たり、一般の開業医と病院の専門医師の中間的な立場を想定し、それを実践してきたつもりである。

              最近のEBM治療の中で、病院の医師は訴訟のことも脳裏に置きながら標準治療を押し進めざるを得ない環境にある。私もEBMを無視するわけではないが、患者さんそれぞれに最も適し、再発しない治療は何かと考えながら工夫することを第一としてきた(大抵の医師は元は同様の考えをいだいていたはずと思う)

              そういった意味では私はEBM-標準治療を率先して推進する医師ではない。が、視点をずらして診ていることで、今必要な事が見えてくることがあった。
              15年前の患者会開催しかり、8年前の乳腺科標榜、開業後のセカンド・オピニオンの開設・料金設定、一人一人に時間をかけた診察、しかりであった。最近は学会等で30歳代乳癌の増加を訴えている。

              日本人女性の乳癌は40歳代を中心に働き盛りの年齢層に多い。近年日本の女性も社会進出が進み、晩婚・少子化が社会問題化している。私の言っているように30歳代の乳癌の増加が見られるならば、晩婚化に伴い妊娠・出産年齢と乳癌年齢が近づき、オーバーラップしてくる。
              現に私のクリニックでは、平成17年の確定乳癌患者の年代別分布で30歳代が40歳代を超え、妊娠・出産を希望して不妊治療を受けていた2名の方で乳癌が発見され、私も患者さんも大いに悩み、考えた。

              こうした中、平成17年11月20日東京で『第一回妊娠と乳腺疾患研究会』が開催され私も参加してきた。
              外科医のみではなく、産婦人科医、放射線科医そして病理医やパラメディカルも参加した会であった。妊娠・授乳期乳癌についてはまだ分かっていない事が多いが、今後の乳癌患者層を考えるに当たって、この様な研究会が出来た事は時宜を得ていると思われた。

              今後こういった面での悩みが増えるのではと危惧している。
                                
              西田クリニック  西田 禎宏

              「2005年日本乳癌学会レポート」  (脇田和幸先生)

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                年1回開催される日本乳癌学会総会.今年は倉敷で,6月にありました.
                乳癌を専門にしている日本中のDrが集まる会で,今回Drは3000人くらい集まったそうです.他の学会と違うところは,看護師さんや薬剤師さん,あるいは患者さんも約1000人くらい参加しているということです.参加費やや高いですが,その気のある人はどうぞ.来年は金沢,再来年は東京の予定です.

                学会のニュースとしては,昨年末から乳癌専門医が一般に広告してもよい資格として認められ,乳癌学会のHPを開くと都道府県別で病院名付きでみることができるようになりました.ちなみに,マンモグラフィー読影試験合格者もリンク先からみることができます.乳腺科標榜に関しては,乳腺科標榜を認めると医者なら誰でも乳腺科を掲げていいということになるので,かえって混乱を招くという恐れから今は見送っているそうです.なかなか複雑です.

                診療の標準化がさけばれている昨今であり,やっと日本乳癌学会からのガイドラインが出そろいました.さらに,St.Gallenのコンセンサスも今年改訂となる予定で,その解説もされていました.今年春の大阪QOLでもいち早く紹介しています.

                そのほか内容は多種多様で,紹介しだしたらきりがないのですが,
                大阪QOLおなじみのDr高尾,西田,小西,脇田,そして鈴木Nsもそれぞれ発表してきました.

                マンモグラフィー読影の模擬試験みたいなのもあり,脇田はまた成績優秀者表彰でした.エヘンエヘン.

                淀川キリスト教病院 脇田和幸

                「私と大阪QOLの会」  (高尾 信太郎先生)

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                  1999年11月20日、大阪府済生会中津病院で『乳腺外来勉強会』としてこの会がスタートした時には、参加者も十数名、多忙な外来での説明不足解消と患者教育が大きな目的でした。
                  それまで患者さん相手の講演はほとんど経験がなかった私は、毎回、難しいスライドを駆使して未熟な講演をしていました。まさにお堅い勉強会でした。

                  今から思うと、参加された患者さんが本当に熱心に、つまらない私の講演を聞いてくれたことが会を続ける唯一の原動力となっていました。
                  その後、同じ大学の乳腺グループであった淀川キリスト教病院の脇田先生、西田クリニック西田先生が私の未熟な講演をみかねて協力を申し出でくれ、三人体制で、名前も新たに『大阪QOLの会』としてスタートしました。

                  互いに講演を批評し合い、また、いろんな分野の方にも講演を依頼して、毎回患者さんたちの反応や意見を見聞きすることが大変勉強になりました。私が済生会中津病院を去った後も後任の小西先生が世話人に加わり,毎回,参加者も増えてきました.

                  そうするうちに、医師から患者への一方通行の会ではなく、患者さん達もお互いの情報交換や話し合いの場として、また、気楽に医師に質問、意見を言える場として、徐々に会の形が変化してきました。
                  そこには、会の発足時から患者代表としてがんばってこられた堀さんはじめ多くの方の努力が結集しているようにみえます。

                  昨今、乳癌をめぐる情報が氾濫し、患者主導型の医療が声高に叫ばれていますが、医療者と患者がともに学び、お互い本音で話し合える会が一つぐらいあってもよいのではないか。そんな会にこの『大阪QOLの会』が育ってくれればと思いながら,毎回楽しみに参加しています。

                  兵庫県立成人病センター乳腺科 部長 高尾 信太郎


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