「夏の光合成」 (西田 禎宏先生)

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    夏休み、8月のぎらつく炎天下へ、母の"帽子を被って行きなさい"という声を振り切って飛び出してゆく少年。何十年か前の私である。

    以来、医学部を卒業して病院勤めをするまで、夏の終わりに黒くなっていない自分は考えも及ばない事であった。如月生まれの私だが夏が好きである。といって、冬が嫌いなわけではない。山形で学生生活を送ったお陰で雪の楽しさと怖さを知った。

    一年の殆どの時間を病院やクリニックの中で過ごし,日の光に会うのは朝の出勤時のみである医師の生活の中で、夏休みは唯一日の光を浴びれる機会である。いつも海辺へ行けるわけではないので、近年私は次のような過ごし方に行き着いた。

    仕事の入っていない木曜日や土曜日の午後、または日曜日にプールへ出かけて行き、プールサイドで全身日光浴をしながら、寝転がって本を読んだり、文章を書いたりする。燦々と照りつける太陽の光を浴び、汗が滲み出してくる。空には積乱雲が広がり、時折サアーッと風がはしる。そんな中、本を読んでいて眠くなれば眠る。普段と異なるゆったりした時間である。そして日焼けして黒くなる(もともと地黒ではあるが)。

    これが私にとって至福の時間であると同時に不思議とエネルギーの蓄積を感じるのである。そこで私は閃いた。「これは自分にとって光合成なのだ!」

    以来、夏になると"今年も光合成しなくては!"と考えるようになった。来年までのエネルギーの貯蓄である。涼しい部屋で寝転がって本を読んでいたのではダメなのである。息苦しい衣服は脱ぎ捨て裸になり、太陽のエネルギーを吸収して、汗をかき、全身を活性化させる。紫外線がどうのと言われるが、日本では紫外線による皮膚がんがどれほど多かっただろうか。

    それよりもこの開放感と至福、そしてエネルギー!これを得る、限りある時間を大切にしたい。身体が黒くなる頃には、秋からまた頑張ろうという態勢が整うのである。

    西田クリニック  西田 禎宏



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